いつものごとく3か月程前の出来事になってしまったので記憶が曖昧です。
1. 富士山の浮世絵(2014.1.26)
これ観終わってすぐの感想が「地味だったな・・・」というもので、だから今思い返してみたところで「地味だった」と再確認する作業しかできなさそう。
歌川広重と葛飾北斎の二強だったかな。
風景画なので遠近法とか影の付け方とか、そういう画技に注目できた、いつもみたいにパッと見でわかる美しさだけじゃないものを観れたような気がした。
北斎の弟子に昇亭北寿という人がいて、いくつか展示されてたんだけど、まだ遠近法の焦点の当て方が未完成だった頃の画もあってなんだか衝撃を受けた。
「うおお!試行錯誤してる!」みたいな。いや当たり前なんだけど。技法を身につけきれていない画を観れたのは貴重だった。
富士山のある風景、という限定的なテーマなので、やっぱりどこかのタイミングで飽きてしまうのは仕方なかったのかも。
構図に関して、広重も北斎もバリエーションが豊富でめっちゃ考えてんだなとは思った。ただ広重は、遠近感を出したいがゆえに柱とか木の幹とかを手前に持ってきすぎて、視界の邪魔になってる作品が多いように感じた。もちろんわざとそうしてるんだと思うけど。
2.葛飾応為 吉原格子先之図―光と影の美 (2014.2.2)
これめっちゃよかった。
1.の展示と同様に光の当て方/影の付け方、という画技に注目した展示。
葛飾応為は北斎の娘。天才。
展示タイトルはポスターの作品の名前で、初めにこれがばーんと展示してあった。
この作品は、吉原の屋敷にいる遊女たちを外から男性客が見に来ているところを描いたもの。物理的に考えれば、中央にいる男性(と子ども?)が持っている提灯の光で、そのすぐ近くにいる遊女の顔は本来見えるはず。けれどもあえて彼女の顔を明らかにしないことで、鑑賞者の想像をよりかき立てるような作品になっている。
はあ。めっちゃすごい。感動してほいほいこの画のクリアファイルを買いました。
この時のメモ読み返したら割といっぱい書き留めていた。文章にまとめるの面倒なのでてきとうにカテゴリに分けてそのまま載っけます。
◎応為絶賛
・応為は本当に才能あったんだと思う。観察眼と表現力と技術が備わっている
・葛飾応為の作品は一点と、絵巻と、あとパネル展示だけだったけど、あれでも十分よかった
・大浮世絵展で初めて知ったけど、すごい人だったんだな、北斎のWikipediaで娘がいたっていうのは知ってた気がするけどすっかり忘れていた
◎花火
・花火大会の絵たくさんあったな、花火の描き方絵師によって全然違って面白い
・四代歌川豊国が他にどれだけ作品残してるか知らないけど、川崎帰の舟に乗る女性二人の絵は大胆で良かった
・歌川豊春の天満天神夜祭はファンタジーでいい感じだった
画面中央に架かる橋には人がごった返していて、上には星が白い点で表現されてんの。あれはきれいだった。
◎雑感
・豊原国周の楽屋にいる歌舞伎役者の様子描いてるものも興味深かったな、そういう所も取材してるんだなって思った
いわゆるバックステージみたいなところにも目を向けてると、ちょっと考えたらまぁあり得るなってわかるんだけど、目から鱗っぽい作品だった
・三代歌川豊国と月岡芳年の描く女性は本当に綺麗だ
・歌川芳幾の写真を模した絵はおもしろかった、今でも「写真の様な絵は描く必要あるのか?」とかいう議論あるから
・芳幾はあと歌舞伎役者のシルエットのやつだな。シルエットの映った障子にそのまま紙貼って描いてるやつ。笑っちゃった
・笑ったといえば歌川国芳の日蓮の二作も面白かった。取り巻きが皆日蓮がもたらす現象に翻弄されている感じ
芸人の団体芸リアクションみたいな感じね
・今月の展示は心震える作品が多かった、感動した
あっ、これ伝わりづらい。
これ載せてもどの画について述べてるのかは私自身しか分かりようがなくて不親切だな。今後はしない。
兎にも角にもこの展示はめっちゃ興奮しながら観れたので満足度高かった。たぶん光と影というテーマが捉えやすかった+絵柄が多様だった+派手な画が多かった からだと思う。
この二つの展示で、絵師は、題材を切り取る発想力と、それを実際に表現する技術力との両方が備わってるんだな、ということを感じた。
そこに辿り着くために、北寿のように何度も練習を積み重ねていたことも知れた。
はー。長くなった。
3月の展示は見逃してしまった。