春画展 - 永青文庫

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SHUNGA 春画展

10月半ばに観に行った。永青文庫に行くのは初めて。

 

人が多かった…。老夫婦が多いなと思った。若いカップルとか女子大生っぽい子も友達同士で来ていたりしていたんだけどパッと見少なかった。平日15時頃だったからか。春画展、18歳以上が観覧可能だけど、その日は全体の7割が60歳以上っぽかった。休日になったら割合も少しは変わるんだろうけど、平日でもすごい混みようだったから後期は行く気がしないなあ。

 

5つの章があった。気に入ったのはプロローグと第Ⅲ章。ⅠとⅡの章もすごかったんだけど、いかんせん内容が内容なので飽きが来るのが早かったかもしれない。ここらへんは人だかりがおさまらなくてじっくり観れなかったのが心残り。

 

プロローグ、行為に入る直前、男性が女性の手を引っ張ったりして誘う様子など。控えめな触れ合い。初々しい二人もいれば、急かす男性を尻目に余裕な表情の女将なんてのもあったりした。

Ⅰ、肉筆。Ⅱ、版画。普段の浮世絵展では全く観ることのないジャンルなだけに、こうやって一堂に会すると壮観であった。

もうなんでもありって感じだった。夫婦、異性同士の恋人はもちろん、ゲイ、レズビアン(備忘のため便宜上使用した、申し訳ない)、乱交、触手(蛸)、獣、その他諸々。体位も案外幅が広い。だいぶ自由で、ある種開き直りというか、あんまり堂々としているもんだから思わずまじまじと観てしまった。
しかしさっきも言ったように、描かれる大半は男女の正常位なのである程度進んでいくと飽きる。技術とか色使いとか表情とかはだけた着物に注目しながら観ると吉。ちなみに着衣のままが多いのは現在のフェチシズムと同じ理由かもしれない。

 

春画、大名かなんかが絵師に頼んで戦いの勝利祈願や火災を避けるお守りのような意味合いで描かれることもあったらしい。だから豆判(手のひらサイズの浮世絵)でも出回っていたんだろうか。第Ⅲ章で特集されるくらいには数があった。

 

当時の春画の扱いがどういうものだったのかよくわからない。「笑い絵」と呼ばれたようにみんなでくすくす笑いながら鑑賞するものとどこかで聞いたことがある。現在より性に対しておおらかそうだしひっそり隠れて見るというようなものではなかったんだろうか。身を守るお守りにもなるし、でもやっぱり政府から禁止された時期もあったみたいだし。
そこらへんが曖昧なままなんだけど、春画に描かれた人たちはみな性行為が嫌いそうな顔してなかった。それが嬉しかったというか癒されたというかなんというか。

 

あとはⅢの豆判、エピローグ。豆判は背景の模様がすごい。チェックとかそういう。あざやかでかわいらしかった。エピローグは錦絵だったかな?第Ⅱ章に近いきらびやかな世界観だった気がする。エピローグの部屋に配置されていたソファや棚がすごい渋く美しくてかっこよかった。

 

物販はこぢんまりとしていた。Tシャツやトランクス、ふせん、トートバッグなど。あれ買っても使用するんじゃなくて、たいていの家では鑑賞用になるんじゃないかね…。

 

そんな感じ。以下雑感とまとめ。
鈴木春信の絵がパステルピンクの背景の中、ほのぼのとした男女が描かれていてラブリーだった。絵巻物が3つくらいあった。葛飾北斎の海女と蛸は何度見てもすごい。

全体的に、周りの誰もとがめないような、後ろめたさを感じさせないものが多くて、ああ、みんな楽しそうだな、と思った。まあ部屋の外で女中が聞き耳を立てていたりするんだけどそれも中学生的な好奇心に近い印象だ。絵師の想像力にはどんな浮世絵を見ても脱帽する。

永青文庫は立地や内装や解説文もすべて、誠実なところだった。また行きたい。