図録+トートバッグ付前売りチケットを買って臨んだ。今月は金がないだろうと判断した先月の私賢い!まあだから今の状況があるわけなんだが。 pic.twitter.com/hg2oXwYK8D
— 紋 (@neovillla) 2017年5月19日
※今の状況=預金残高5,000円
幼少期に出会った絵本で今でも好きなのは、トミー・アンゲラー『すてきな三にんぐみ』、アネット・チゾンとタラス・テイラー『おばけのバーバパパ』、そしてエリック・カール『はらぺこあおむし』の3冊。
とりわけエリック・カールの絵の色使いがとても好きで、まあ好きなだけで技法なんかまったくわかっちゃいなかったんだけど、絵を待ち受けにしたりなにかのアイコンに使用したりといろいろお世話になっていた。
そんで本展ですが、原画多いしダミーブック(絵本の習作、修正を重ねたダミーブックを何冊も作成しながら仕上げていく)も展示されてるし、彼の生い立ちも、初期~2017年現在の作品の変遷もよくわかる。
きらびやかな芸術や生活が禁じられたナチス政権下のドイツでの少年時代、カールの画力を認めた学校の先生がサポートしてくれて、アンリ・マティスなどの色彩あざやかな絵画をこっそり見せてくれたこと、その衝撃が今までの作品にすべて落とし込まれている。
上記の思い出が『えを かく かく かく』という絵本(2011年)に特に強くあらわれており、赤いワニや緑のライオン、黒いシロクマなどが出てきて、自由な発想で絵を描いていいんだよ、というメッセージが込められている。
あとがきに「あのとき出会った色彩が、ぼくとともに生き続けてきた」の言葉。少年期に受けた衝撃って人生にずっと残る。
しかし12歳のときの思い出が、82歳になっても色褪せることなく、しかも形にできるというのは…、当時の抑圧された生活が色彩への渇望にまっすぐ繋がったのか。唯一無二の色使いは、かなしい社会背景を糧にして生まれたのだな、となんとなくせつなかった。
絵本で特筆すべきはエンドペイパー(表紙裏)。これは図録。
ここ、作品毎に手作りで模様を描いているんだって。はじめはどんな物語か想像を駆り立てさせ、おわりは余韻を感じさせるようなものにしている。そういえば小さいとき、ここ眺めるの好きだった。
ていうか美術館で図録というものを初めて買ったんだけど、すばらしいですね、展示作品をすべて見直せるのはもちろん、詳細解説文もあるし。買ってよかった。
展示中の解説文は、子どもが訪れることを想定してか(実際に小さいお子さんがいらっしゃっていた)やさしい文体だった。
物販コーナー、マグネットとレターセット。
この人魚の絵がいちばん好きだな。
これでまた残金が減ったねって?そうだね。
世田谷美術館は用賀駅から20分弱くらい、砧公園の中にある。
途中はプロムナードになっていて、ぼんやり歩くにはいい感じだった。