芳年 激動の時代を生きた鬼才浮世絵師 - 練馬区立美術館、8/28

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影によって熊の爪が意外と鋭いことがわかる。

 

どうしても行きたかったので、職場の野球大会の観戦中にこっそり抜けて観てきた(鑑賞後すぐ戻った)。
鑑賞自体は2時間半弱。移動時間合わせて5時間。途中抜けしたことすぐバレた。

練馬区立美術館初めて行った。広い。今回の展示は3つの展示室を使用していたけど、1室1室が広い…。特に浮世絵を取り扱う美術館の利用客って高齢者多いけど、疲れないのかな。いや絶対疲れるよな。解説文をすっとばさずに読むと、より体力の減りが速くなる。

月岡芳年は私がいちばん好きな浮世絵師で、関連展示は行けるだけ行っていたのであんまりわからなかったんだけど、芳年の画業を総ざらいする展示は今まであんまりなかったらしい。たしかに「歌川国芳の弟子の一人」という位置づけが大半で、個人にスポットを当てることは少なかったかもしれない。


そんなわけで今回は歌川国芳なし、落合芳幾(国芳の弟子)との合作を除いてはほぼ芳年の画をそろえた展示なわけです。眼福!

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だってチラシが4種類もあるんだよ。通常展示はこんなのないもん。気合が相当入ってることが窺える。


すごくよかったです…。
なにがって、とにかく作品数が多い。初めて観るものがたくさんあって結構ショックだったし、浮世絵の下絵とか挿絵、水墨画まで…レアだった。
15歳デビュー作から晩年の人気作までを一挙に観れて、月岡芳年というひとりの浮世絵師の人生を追いかけられたような気がした。

 

さっき書いた落合芳幾との合作はこれなんですが、実物が28枚すべてそろうとかなり圧巻で、このコーナーの入口に「残虐なので心してみるように」と警告の貼り紙があったほど。知ってて入ったけど、それでも気分が沈黙してしまった。
これらが世間に受け入れられた当時の情勢の不安定さよ…。

 

芳年の作品をまるっと観ると、改めてその幅広さに感心する。無惨絵、歴史絵、美人画、古典画、等々。当時の新聞の挿絵も担当していた。
ひとつのジャンルに囚われない探求心と、それを具現化する技術の高さがよくわかる。
私が芳年を好きなのは、言うまでもなくその画力と、精神病んでから復活したときに「復活したよ!」の意味を込めて「"大蘇"芳年」と名乗ったそのユーモアセンスとか、絵に見え隠れする人間らしさにあるなと思った。

好きな作品を挙げるとキリがないが、今回は「西郷隆盛霊幽冥奉書」に見入った。他の展示でも観たことあるけど、何回観ても迫力があって。

 

ミニタオルとポストカード2枚買った。
画集かなり迷ったけど買わなかった。あと1回行ったら買ってしまうかもしれない。