琉球 美の宝庫 - サントリー美術館、8/29

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想像していたより貴重なものがばんばん展示されていて度肝抜かれた。

 

自然や戦争、食文化が取り上げられやすい沖縄で、文化財に焦点を当てる展示はなかなか開催されてこなかった。嬉しい。

出身者なのに、染織物以外はぜんぜん知らないものばかりだった。特に絵画については、琉球の画家と中国の画家との交流(琉球画家が中国へ渡って直に習ったり)があったこと自体知らなかったし、またその絵画技術が18世紀初期の時点でかなりの程度洗練されていたことにも驚かされた。
いや、だって、浮世絵の祖(と言われている)鈴木春信の初作が1760年だよ。当時の中国の発展ぶりと、琉球の特徴的な地理に思いを馳せずにいられないというか、なんというか。

漆器についてはなんとなく特産物っぽいってわかってはいたんだけど、実際に14,5世紀に琉球王朝へ納められたものを観ると、めちゃ神秘的な気持ちになった。
展示コーナーこそ小さかったものの、ひとつひとつの作品がいちいち美しくて、人格ゆがみそうになったもん。王ってこんな気分だったのか。

中国の影響をもろに受けているので基本的に王朝への貢ぎ物は華美(写真の王冠の通り)。首里城も朱いし。
展示作品を振り返ると、その影響以外に王族の好みとかも反映されてんのかなあと考えたり、やっぱ独特の雰囲気あるよなあと思ったり、感じることが多かった。

あと市井の人々の文化でへーと思ったのが、女性は手に刺青を施していたこと(「ハジチ」と呼ぶ、が、痛そうなのがだめな人は検索しないほうがいいかも)。 結構興味深い模様をしている(が、痛そうなのがだめな人は検索しないほうがいいかも)。

 

今まで「沖縄の文化についてはもう飽きるほど見てきたから大体のことは知っている」と思い込んでいた自分を恥ずかしく思った。と同時に、これらは自分が地元に住んでいた頃に知り得た情報だったのかどうかが気になった。
作品リストを見たら、所蔵先はかなり分散されているようで、総展示作品141点のうち沖縄県外にて所蔵されている作品(個人蔵含む)は約70点と半数を占め、さらにその地域も福岡、東京、奈良などばらけている。
でも沖縄県内の美術館に所蔵されているものがもちろんたくさんあったから、住んでいた当時観ようと思えば観れたんだよなあ。調べようともしなかった自分を棚に上げて言うけど、学校で平和教育ばっかやってないでこういうのも紹介してほしかった…。

 

なにはともあれ、大変面白かった。行ってよかった。