ミュシャ展 - 国立新美術館

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去年から絶対に行くと決めていて、でも始まってから毎日混んでる情報が流れてくるのでタイミングがわからずもじもじしていた。やっと行く気分になったので行ってきた。

 

スラヴ叙事詩全て展示ののち本編、Ⅰ~Ⅳ章の構成。

スラヴ叙事詩

スラヴ叙事詩についてなんにも知らなくて、おー大きい絵だなードーンとしてるわーなんて漫然と見てたらどうやらそのドーンは×20あるらしいぜとなり、腹決めてしっかり観ることにした。
彼の故郷であるチェコの歴史・神話をベースに、異民族の侵略、教会の権威の失墜、カリスマ的指導者の存在、たび重なる宗教戦争から、最終的にスラヴ民族が独立するまでの経緯が描かれている。

作品のいくつかにはこちら(鑑賞者)側を見ている人物がいて、それはたいてい少年。
たとえば『フス派の王、ポジェブラディとクンシュタートのイジー』という、チェコ国王イジーが請求し、叶えられるはずだった友好協定が教会によって一方的に無効にされ、イジーが憤怒する場面を描いた作品がある。この絵の前方に少年がいて、「ローマの終焉」というタイトルの本を持ってこちらを見ている。
この事件以降、教会の権威は堕ち、チェコ(スラヴ民族)の団結が加速するわけで、ここでの少年はストーリーテラー的な役割をしているのかなと。

全体的に訴える力を強く感じた。あとはとても大きい。大きい絵はそれだけでずしんとくる何かがあり、鑑賞者はただ圧倒されてしまうというか、宗教心を高める一つの方法なんかなと思う。

 

本編Ⅰ~Ⅳ、商業的成功

本編、ミュシャの作風はもう完成された状態から始まっていた。プラハの絵画学校(?)に入れなかったり、勤めていた工場が破産したり、パトロンが途中で資金援助を打ち切ったりと、最初はなかなかハードな生活だったようだけど、当時の作品がどのようなものだったかはわからない。

そんでサラ・ベルナールという大女優が出る劇のポスターを請け負ってからブレイク。ここからはもう我々の知っているミュシャの絵だった。
四つの花」「四芸術」とかめっちゃよくて、ああ…美しい…って感じだったのに、一回チェコに帰ってよし!スラヴ叙事詩描くぞ!って決めて(?)戻ってきたあとに描かれた『ヒヤシンス姫』はもう更にすばらしくて、何がって美しさだけではなくて、内面の強い意志が瞳や表情に如実に表れてる。民族の団結、は彼のほとんどの作品に込められたテーマだけど、特に強く意識されているような気がした。

とても人気だったらしくて、以降は建物、切手、装飾品、警察官の制服のデザインなんかも引き受けていたらしい。

 

ミュシャ自身

作品を通して訴えたかったこと、「暴力に暴力で対抗しない」「芸術を忘れない」かなと思った。
ただ自身の性格は謎で、スラヴ叙事詩という超大作を20作も描き続けられること、その内容は一貫して民族団結・調和を訴えるものであること、その他の作品は知られている通り細部まで美しく、繊細で、唯一無二のデザインであること、これらを産み出せる人間っていったいどんな奴なんだ、という疑問は残った。
最後にミュシャを写した写真が展示されてるんだけど、柔和で聡いというか、きれいな顔をしていた。君子かな?

 

だいたい所要時間1時間くらい、13時半に行ってそんなに並ばずチケット買えた。

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ポストカード、と

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マグネット買った。 

  

近況

相変わらず元気

むしろ去年よりメンタル強くなった気がする。
おそらく恋人と別れたことが一番大きな要因で、そこから趣味に没頭してたらいつの間にか強い人間になっていた。
あとは人の目をそんなに気にしなくなった。これは単純に年を取ったら得られるスキルだと思う。
 

Twitterをまた始めた

2年振りにまたやっている。学習能力がない。
でも快適さんとお会いしたときにまた始めたらええやんと言われたのが嬉しくてその場でアカウント登録したので、私はこんな風に誰かに背中を押されるのをずっと待っていたんだろう。
たまに気分が悪くなるときもあるけど、基本的には精神的に良い方向に作用している気がする。
2年前とは違って鍵をかけない、ネガティブなことも言う、時事ネタを無視しない、などの意識でやっていく。そのほうが楽になれる。

物を捨てる

自分にしてはかなり思い切った感じで物を捨てている。
服はいらないのがある程度の量になったらまとめてZOZOTOWNに送っている。安物ばかりなので金にはならない(10着で200円とか)。でも処分するのが目的だから別にいい。
それからオーディオを処分したら空白ができたので、3年間放置してた本棚を整理した。割とおさまった。そんなに本買わない人間なんだなということが分かった。
いらない漫画や雑誌もブックオフに売った。これも1冊10円で取引。そもそもなんで金がもらえるんだろう。ありがたいよな。
こんな感じでだいぶすっきりした部屋になった。ゆくゆくはソファとローテーブルも処分したい。 

 

遠出をする

趣味友に情報を教えてもらって一緒に行っている、という感じだが。
ダム、工場、庭園など。
遠出するときは移動中も楽しい。ずーっとぼけっとしている。一生車や電車に揺られていたい。窓から見える景色を眺めながらゆっくり死んでゆきたい。

死、で思い出したけど、理想の死後は沖縄県の墓にいることだと昔から言ってきたんだけど、たぶんそれ無理だ。
それは墓を管理してくれる親戚や子孫がいるんかとか、自分自身沖縄県にいつ帰るかもわからんよとか、もし沖縄県民以外の人と結婚したらどうすんのなどの懸念の存在に因る。
それならそれでまあ仕方ない。死後に自分の意識が残らないことを祈るしかない。

話それたけど、遠出は楽しい。目を上げればいろんな場所にいろんなトピックがある。それを知れてよかった。

 

近頃はこんな感じ。

観に行った展示たち、2

後半、6月以降のもの。

 

  1. VOLEZ VOGUEZ VOYAGEZ 旅するルイ・ヴィトン
    紀尾井町特設会場、6/4

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    これは素晴らしい展示だった、まず無料である。
    トランクがメインの展示物で、その一つ一つの見せ方が非常に凝っていた。展示するからというのもあるんだろうが、元々のルイ・ヴィトンの仕事ぶりが非常に凝ったものだったんだと思うし、そう思わざるを得なかった。
    アイテムを使用する人の生活やその空間にぴったりと沿うような、しかしルイ・ヴィトンであるという強い雰囲気を持ったアイテムばかりだった。
    それは他のデザイナーとコラボレーションしても変わらず、むしろルイ・ヴィトンの存在感をますます強めるようだった。

  2. 村上春樹イラストレーター ちひろ美術館・東京、6/11

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    ちひろ美術館はじめて。
    絵の下に棚があり、そこに実際の挿絵がなされた本が置いてあった。
    イラストレーターと村上春樹の本に、同時に興味が持てるような展示だった。美術館の雰囲気も非常にやわらかくてやさしい。
    安西水丸和田誠、ワイルドでいいなあ。

  3. 鏡の魔力/若き日の雪舟 根津美術館、6/25
    ここもはじめて。
    鏡、古代のまじないや祈りの意味が強く込められた時代のもの。
    子孫繁栄、息災?を願うとき、それぞれのモチーフが出てきて興味深かった。葡萄とか、なんだかわからない獣とか。
    雪舟は…、あれだな、本人の絵だよって言われてから見るから本人のものだと思うだけで、実際何も知らずに見たとしたら、同一人物だと確証がもてるまで時間がかかるかしら。若い時の雪舟の絵も、あんま変わらないなって思ったけど。
    水墨画だから難しいかもしれないな。

  4. 大妖怪展 江戸東京博物館、7/18
    ほぼ何も観てない。ごめんと言うしかない。
    人でごった返した美術館、最近容赦なくすっ飛ばしてしまうので、あんまり意味がない。日時をよく考えるのと、+なにか対処が必要だと思うんだけど答えがまだ出ない。きっと心構えのようなものなんだろうが。

  5. ルノワール展 国立新美術館、7/24

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    混んでた。
    この絵、非常に大きい。大きい絵の前にじっと立っていると神聖な気分になってくる。宗教画が盛んな地域だからそういう狙いもあんのかな?
    子どもの絵が多かった。ほっぺさわりたいな。子どもに限らず女性たちも肌が白く、ふくよかで、柔和な目つきをしていた。

  6. ポンピドゥー・センター傑作展 東京都美術館、8/6
    1年1作家1作品、という縛りでの展示は結構新しいのでは。1906-1977の71年間で作家が一人もかぶらないのはすごい。
    ル・コルビュジェが絵も描いていたとは。しかも独特な、うまい絵。
    かなりサクサク観れた。

  7. 木々との対話―再生をめぐる5つの風景 日付同上

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    これ木を削ってつくってんのよ。すごいねえ。
    正直なところ彼らが木を使って何を表現したかったのか自分にはあまり理解できず…。

  8. d design travel 愛知展 渋谷ヒカリエ d47 MUSIUM、8/4

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    愛知定食。
    これ毎号発行のたびに開催しているようだ。また行きたい。


    以上。
    2016年に入って合計19の展示を観に行った。
    今後はもうすこし展示を観に行く意味と目的を考えていきたい。なんだか今のままでは観たものが血肉となって残らないような気がしている。

観に行った展示たち、1

行ったところが例年より多い+書き留める行為をまったくしていなかった。
写真貼りたいけど、多くて全てをアップロードするのは困難…。
では参ります。

 

  1. 世界のマダムのおしゃれスナップ展  Advanced Style 2
    西武渋谷店A館、3/20
    これは前回の池袋verと感想同じ。

  2. THE SAPEUR - コンゴで出会った世界一おしゃれなジェントルマン
    場所同上、4/9

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    サプール、かっこいいことはわかったんだけれども、コンゴ地域でどうやって高級なブランド品を仕入れているのか、サプールという集団は地域ではどのような位置付けなのか、街を練り歩きすることに何の目的を見出しているのか、などの説明がなされないままだった(とは同行した友人の感想だが)ので、なんかモヤモヤしたものが残った。
    マダムとこの展示会は、写真家の言葉ははじめの挨拶しかない。あとは被写体の印象的な言葉が解説として挙げられているのみ。
    ちなみに上の写真の言葉は、「服が汚れないように細心の注意をはらう」みたいな感じだった。これはなにか政治的なメッセージが込められているんじゃないかと思わされる撮り方なんではないかと思うのは、不要な解釈なんだろうか?

  3. 歌川国貞 - 和の暮らし、和の着こなし。 太田記念美術館、4/24

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    このポスター、今までの太田記念美術館の展示ポスターの中でトップレベルに好き。婦人画報みたい。

  4. あそぶ浮世絵ねこづくし そごう美術館、5/8
    そごう美術館めっちゃ広いし、ねこはかわいい。

  5. PARIS オートクチュール - 世界に一つだけの服 三菱一号館美術館、5/14
    ガン高いであろうドレスが淡々と置いてあった。こんなのが見れる機会なんてもうないと思ったのでドレスの背中側もじっくり見てきた。
    デザイナー(ココ・シャネルなど)の手のみを写したショットがあり、女子学生であろう人たちが興奮気味に見つめていたのを覚えている。自分はただほーんと眺めているだけだったので、この展示のありがたさをちゃんと理解できていないのでは?いいのかな?という気になったが、仕方ないことだと思う。

  6. 雑貨展 21_21 DESIGN SIGHT、5/19
    個人が考えた「雑貨」という概念、その集合体が成す意味とは、の解釈。
    単純にいろんな雑貨があっておもしろいなあと思った。懐かしみやかわいさや実用的やそうでないものたち。
    雑貨、その持ち主の思い入れやアイデアに左右されるところが大きいと感じた。

  7. 広重ビビッド サントリー美術館、日付同上
    初版のものをコレクションしたから、よりビビッドなんだよということらしかった。
    当時の日本諸国の景勝地を広重の視点で描いた絵たち。広重は雪の地を描いているのがいつも目に留まる。静かな情景が心を落ち着かせるのかもしれない。

  8. ボストン美術館所蔵 俺たちの国芳、わたしの国貞
    Bunkamura ザ・ミュージアム、5/21

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    人が多すぎて多すぎて、めちゃくちゃすっ飛ばして観た。
    帰りにガチャガチャした。もうそれしか思い出がない。
    あ、タイトルは、国芳画は勇猛で、国貞画は女性のよき見本みたいな感じで受け入れられていたかららしい。ほんとうに当時の婦人画報だったのだ。

  9. 弦屋光渓 現代浮世絵展 "写楽"、その先へ―  Bunkamura Gallery、日付同上
    線が細くて不安になった。わたし懐古厨なのかな。


    次回へつづく。

近況(映像について)

最近テレビで観る番組が増えた。

 

  • 真田丸
    大河ドラマを生まれて初めてちゃんと観ている。1話見逃したけど。
    コメディ要素があるので大河初心者でも入りやすい。
    草刈正雄は本当にハンサム。

  • ブラタモリ
    正月に実家帰ったときに観て、おもしろいじゃんってなって東京戻ってきてすぐ録画を始めた。
    なんで今まで観てなかったんだろうな。悔しいなぁ。
    地理すごい苦手だけど、この番組は非常にわかりやすく解説してくれる。
    マジでおもしろい。タモリは物事の読みが鋭い。ただ単に知識があるとかいう理由では説明つかないほど鋭い。
    大河とリンクする回があって相乗効果がある。
    エンディングは井上陽水の歌に乗せてロケ中に撮った写真のスライドショーが流れるんだけど、それがとてもぐっとくる。普通に楽しそうな写真ばっかりなのに、なんで静止画になっただけでちょっと切ない感情が押し寄せてくるんだろうか?

  • グレーテルのかまど(再放送)
    イケメンが文学作品に登場するお菓子を一人で(天の声付き)作る。
    瀬戸くんはお菓子作りの筋がいい。それとも初期は下手だったけど番組で上達したのかな?わかんないや。わかんないけどお菓子はかわいくておいしそうだし、瀬戸くんもかわいい。かまど(天の声)との掛け合いもいい感じで和む。

  • 怪盗探偵山猫
    1~3月の日テレ土9ドラマ。
    亀梨和也広瀬すず成宮寛貴。電車の広告がかっこよかったから試しに最初だけ観ようと思った。
    そしたら第1話が異常に心揺さぶられたのでそのまま観続けた。
    亀梨かっこいい。広瀬すずの眉上バングなのにいじめられっ子設定好き。成宮はさすがに演技うまい。「意外でしょ?」のセリフで背筋が凍った。
    前半は1話完結ものが多かった。5話ぐらいでワンパターン感を感じ始めたところで伏線が動き出し、一気に収束していったのですっきりした。
    映画観たいなあ。
    偶然見つけて直観で見ようと思って見た(何年振りかもわからないほど)久々のドラマがかなり当たりだったのでうれしい。
    亀梨かっこいい。
  • マツコの知らない世界
    前から知ってる番組で気になってたまま放置してた。バラエティ観たかったので重い腰を上げて年明けから録画し始めた。
    経済動かしてんなぁって感じ。いい意味で。
    素人が出ても安心して観れるのはマツコのお陰だよなぁやっぱり…。
    この番組で行ってみたいと思える街が増えた。

あとはたまにスーパープレゼンテーション、乃木坂工事中、ゴッドタン。

それから映画。

  • オデッセイ
    ド根性宇宙生活。
    お勉強ができると宇宙に一人置き去りにされても生きていく術を見つけることができるし、助けも呼べるし、メンタルも強くなれる。
    お勉強ができるというのはすなわちチートになれるということである。
    がんばろう。
    悲壮感なくて気楽に観れてよかった。つらいけど耐えまくってチームワークもミラクル発揮して超困難なミッションも血を吐いて泣きながら乗り越えてマジ感動の帰還!みたいなのは苦手なんだ。
    ポテト食べたい。

  • 桐島、部活やめたってよ
    huluで観た。
    観終えた後の第一声が「高校生って複雑だな!」というもので、自分は考えることをとうの昔に放棄した生き物に成り下がってしまっていたことを自覚した。
    でも自分自身のその時期を思い出してもそんなに乖離してるとこないなあって。たぶん。案外みんな思ったことはっきり言ってんなあと思ったぐらいで。
    桐島というスターを囲っているというだけのことで、自分もどこか特別な存在なんだと思いたかった人たちと、映画部のようなもうそこら辺とは全然関係のない人たちとのささいなやり取り。
    しかし山本美月があんなに取り乱すとは。桐島はすげえなあ。

 

こんなもんかな。書き出してみると、イケメンや美少女は本当に人の目を引くのだということがわかる。
「長い時間」「きちんと座って」「静かに」観るということに苦手意識があるため、テレビ全然見ない生活を送ってたんだけど、気に入った番組があれば普通に観れるってことがわかった。ただしリアルタイムでは無理。録画だと途中で止めて再開することができるし、好きな番組でも、何曜日何時何チャンネルが覚えられないから今まで諦めてた。でも録画の仕方を覚えただけで生活に彩りが!録画機能便利!録画最高!

浮世絵以外の展示

ここ2,3ヶ月は小規模のものにちょいちょい行ってたので、まとめます。

 

 

1. 四季礼讃 — 夕べの彩り、夜のしじま展

   講談社野間記念館、10/16 f:id:neovillage:20151016161444j:plain

永青文庫春画展観たあと、すぐに目白を離れるのも名残惜しいってことで、すぐ近くの記念館に行った。横山大観の絵が展示されてるってことを知らなければ迷ったのちにスルーしてたと思う。

タイトル通り夕方〜夜にかけての自然の移り変わり、人々の生活風景などの日本画。蛍や雪景色などいろんなものをモチーフにしながら、昭和時代に生きる人びとを静かに描いていた。

絵も静かなものばかりだったけど記念館自体が死ぬほど静か、人がいなかった。

 

 

2. ピカソ展  日本橋高島屋、2/23

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小さい頃小学生向けの画家作品紹介絵本読んでから、ずっとピカソ好きだった気がする。その絵本に載ってた「泣く女」がお気に入りだったんだけど、この展示にはいなかった。

絵画だけだと思ってたら、陶器やブロンズ像なども作ってたらしい。しかしどれも皆パッと見では意味がわからないのは絵画と同じ。

ピカソの絵画であらわれる謎の顔たち、多角的な視点から見ていることを表現しているんだって知らなかった。登場人物が後ろ姿でも顔を横にかいているニャロメロンの四コマーズのことを思い出した。

あとは被写体としてのピカソ。撮られることにかなり慣れている。ボーダーシャツでパイプをくゆらせてる姿や闘牛を観戦する様子など。南仏のお茶目なおじいちゃんって感じだ。かわいかった。かわいかったけど、写真よりかは絵画をもっと観たかったなあ…。ま、いいか。

 

3. 魔女の秘密展  ラフォーレミュージアム原宿、3/3

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背景は展示とは関係のないただのトートバッグです。それっぽいかなと。

中世ヨーロッパで生まれた「魔女」の成り立ちと、現代におけるその立ち位置の変遷について。

お気楽な展示かと思ってたら、割とオーストリア(だったかな?)博物館から借りてきたリアル資料が豊富にあり、またその内容も歴史的に負の部分を映すような残酷なものが多くてちょっと驚いた。

魔女狩りにおける拷問の詳細とかね。拷問道具とか尋問の様子とか。フロアも広いし、見応えはあった。

ただ途中途中で謎のファンシーなコラムがあり、そこでいちいち気が萎えた。謎のひらがな多用、謎のファンシーフォント、解説文を捕捉できているようないないような恐ろしくふわっとした内容。

会場がラフォーレ原宿なので、若い女の子中心がターゲットであることは分かるんだけど、展示全体の雰囲気とあまり調和できてなかったような。浮いていた。

だけど最後の展示物が月岡芳年の浮世絵だったので、個人的にはそこでもうオールオッケーです。

 

4. NYマダムのおしゃれスナップ展 ーAdvanced Style   西武池袋・渋谷店、3/12,3/20

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キーボードで「NYマダムのおしゃれスナップ」って打つの恥ずかしい。

60歳以上の紳士淑女たちの中でもとりわけ自分のスタイルにこだわりがある人びとのスナップ。ブログ発の展示会だって。鮮やかなドレス、大ぶりのアクセサリー、帽子、靴、それらを身に付けた自分自身の過去・現在・未来、すべて総合して「スタイル」と呼ぶ。

つーかマジで派手。しかし下品に見える人は一人もいなかったな。

「皺も柄の一部」「あなたの態度があなたの程度よ」など、年を重ねたからこそ生まれるユーモアと含蓄のある名言の数々は必見。

観覧者は池袋と渋谷どっちの展示でも、淑女の方が結構いましたね。というか若い人が意外と少なかった。西武だからかなぁ。

ジャパニーズ・マダムたちも充分イケてますよ。

 

 

そんな感じ。池袋マダム展の日に木組み博物館も行ったんだけど、先にfacebookにレポート書いちゃって再度書く余力がない。いろんなコンテンツに文章書き散らすのは自己の切り替えができて良いんだけど不安になる。

 

何はともあれ、浮世絵が恋しい。

春画展 - 永青文庫

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SHUNGA 春画展

10月半ばに観に行った。永青文庫に行くのは初めて。

 

人が多かった…。老夫婦が多いなと思った。若いカップルとか女子大生っぽい子も友達同士で来ていたりしていたんだけどパッと見少なかった。平日15時頃だったからか。春画展、18歳以上が観覧可能だけど、その日は全体の7割が60歳以上っぽかった。休日になったら割合も少しは変わるんだろうけど、平日でもすごい混みようだったから後期は行く気がしないなあ。

 

5つの章があった。気に入ったのはプロローグと第Ⅲ章。ⅠとⅡの章もすごかったんだけど、いかんせん内容が内容なので飽きが来るのが早かったかもしれない。ここらへんは人だかりがおさまらなくてじっくり観れなかったのが心残り。

 

プロローグ、行為に入る直前、男性が女性の手を引っ張ったりして誘う様子など。控えめな触れ合い。初々しい二人もいれば、急かす男性を尻目に余裕な表情の女将なんてのもあったりした。

Ⅰ、肉筆。Ⅱ、版画。普段の浮世絵展では全く観ることのないジャンルなだけに、こうやって一堂に会すると壮観であった。

もうなんでもありって感じだった。夫婦、異性同士の恋人はもちろん、ゲイ、レズビアン(備忘のため便宜上使用した、申し訳ない)、乱交、触手(蛸)、獣、その他諸々。体位も案外幅が広い。だいぶ自由で、ある種開き直りというか、あんまり堂々としているもんだから思わずまじまじと観てしまった。
しかしさっきも言ったように、描かれる大半は男女の正常位なのである程度進んでいくと飽きる。技術とか色使いとか表情とかはだけた着物に注目しながら観ると吉。ちなみに着衣のままが多いのは現在のフェチシズムと同じ理由かもしれない。

 

春画、大名かなんかが絵師に頼んで戦いの勝利祈願や火災を避けるお守りのような意味合いで描かれることもあったらしい。だから豆判(手のひらサイズの浮世絵)でも出回っていたんだろうか。第Ⅲ章で特集されるくらいには数があった。

 

当時の春画の扱いがどういうものだったのかよくわからない。「笑い絵」と呼ばれたようにみんなでくすくす笑いながら鑑賞するものとどこかで聞いたことがある。現在より性に対しておおらかそうだしひっそり隠れて見るというようなものではなかったんだろうか。身を守るお守りにもなるし、でもやっぱり政府から禁止された時期もあったみたいだし。
そこらへんが曖昧なままなんだけど、春画に描かれた人たちはみな性行為が嫌いそうな顔してなかった。それが嬉しかったというか癒されたというかなんというか。

 

あとはⅢの豆判、エピローグ。豆判は背景の模様がすごい。チェックとかそういう。あざやかでかわいらしかった。エピローグは錦絵だったかな?第Ⅱ章に近いきらびやかな世界観だった気がする。エピローグの部屋に配置されていたソファや棚がすごい渋く美しくてかっこよかった。

 

物販はこぢんまりとしていた。Tシャツやトランクス、ふせん、トートバッグなど。あれ買っても使用するんじゃなくて、たいていの家では鑑賞用になるんじゃないかね…。

 

そんな感じ。以下雑感とまとめ。
鈴木春信の絵がパステルピンクの背景の中、ほのぼのとした男女が描かれていてラブリーだった。絵巻物が3つくらいあった。葛飾北斎の海女と蛸は何度見てもすごい。

全体的に、周りの誰もとがめないような、後ろめたさを感じさせないものが多くて、ああ、みんな楽しそうだな、と思った。まあ部屋の外で女中が聞き耳を立てていたりするんだけどそれも中学生的な好奇心に近い印象だ。絵師の想像力にはどんな浮世絵を見ても脱帽する。

永青文庫は立地や内装や解説文もすべて、誠実なところだった。また行きたい。