美術館はしご(緊急事態宣言前日)

江戸の敗者たち - 太田記念美術館

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やべえ絶対混むから早く行かなきゃ!と思って11時半前に行ったら結構空いていた。1時間程度で観終わったころには原宿全体の人が増えていた。
源平合戦本能寺の変上野戦争とよく題材になる戦いから、桃太郎と金太郎のほほえましい決闘(?)、吉原(みたいな風俗街)に行こうかどうか迷う男の心の葛藤、のようなテーマまで。
合戦絵って構図がおおむね決まっているので似たような絵が並ぶんだけど、「敗者」をテーマにするとそれぞれの物語に着目することになり、言いようのない淋しさやはかなさが浮かび上がってくる。
日本史勉強したらもっと楽しく観れると思う(浮世絵を見始めて10年経つが日本史まったく詳しくない)。
ところで「織田信長に虐げられる悲劇のヒーロー明智光秀」という人物像って近年出てきた考えなのかと思ってたら、江戸時代の時点ですでに描かれているとのこと。「中村吉右衛門の馬だらひ光秀」(名取春仙、これは大正時代の作品)がよい作品だった。恨みのこもった顔のアップ。
あっ、あと蘇我入鹿を描いた作品もめちゃくちゃよかったんだった。悪い顔ってあんな顔だよなと思う(豊原国周「五代目大谷友右衛門の入鹿大臣」)。
併設されているかまわぬショップにて手ぬぐいのシロツメクサ柄ブックカバーと紫陽花柄のハンカチ買った。


ミュシャ グラフィック・バラエティ - うらわ美術館

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1月に芳年展行ったときの半券を利用してリピーター割引にしてもらった。
うらわ美術館これで2回目なんだけど、入口の雰囲気からは想像できない奥行きがあり作品点が多い。
ミュシャが目指した「大衆のための芸術」はどのように実現されていったか、その実績や成果がよくわかる。ミュシャ展前行ったのいつだっけ?と思ったら2017年だった…

neovillage.hatenablog.jpこの時はスラヴ叙事詩がメインだったのだが、今回はポスターや出版物の挿絵、レストランのメニュー表やお菓子のパッケージ、果ては切手、保険証書に至るまで、市民の生活に浸透したミュシャの絵が多く見られる。
ある程度実績積んだ後にアメリカに渡ってお金を貯め、すっぱり撤退してチェコに帰ってスラヴ叙事詩の制作に専念する、という生き方はまじでカッケー。才能というよりは故郷への思い、情熱の総量がすごいという印象を受けた。
さまざまなモチーフが収録されている冊子『装飾資料集』『装飾人物集』を見ていると、読者に「見て学べ」とでも言っているかのように淡々とデッサンを描き続けるところが北斎漫画に通じるものがあるなと思った。
ところで展示では「ミュシャ(ムハ)」と記載されており、何かなと思ったら、ムハはチェコでの発音ということらしい。
ということで1時間半たっぷり堪能し、明日は外出しなくていいように少し食料を多めに買って帰宅。


明日から緊急事態宣言が発令されるため臨時休館のお知らせが一斉に出た。こんないつもの休日も簡単に禁止されてしまう私たちの生活っていったいなんなんだろう。
誰が誰を見下しているか、そして私自身が誰を見下し、誰に見下されているか、ということがよくわかった1年だったし、これからも身に沁みて感じることが多くあるだろう。