二の腕は切り分けられる前のバウムクーヘンのようだ。溶かした白砂糖がたらりとかけられ、黄色い肌を覆っている。
顔はむくんで首が見えないほどだ。
腹はふくらみ、胃の形がかすかに浮き上がっている。ボテロが描く特徴的な、あのふくよかな人々は風船のようで、針で刺したら破裂しそうだが、実際のところ、そのように丸い体には脂肪がぎっしりと敷き詰められており、跡形もなく消えるというわけにはいかないだろう。
本当にそうだろうか?ちょっと試してみよう。
私は自分の腹に針を刺す。ぷつっという音が聞こえる。
そのまま針を進める。小さな穴があいていく感覚がわかる。血が溢れて流れだしていく。脂肪もそのうち溶け流れてくるだろう。それとも意外と最後まで固まったままだったりして。針をぐるぐると回し、穴を大きくしていく。
左腕をつっこんで肉を掻き分け、肋骨を取り出す。繋がっているので体の中で小さく折る。カルシウムが足りてないですよとあすけんの未来さんによく言われたのを思い出した。どうりで折りやすいわけだ。
骨には白色のゼリー状の脂肪と肉がまとわりついていた。犬にあげたら喜ぶだろうか?と思ったが、骨が刺さったら大変だ。
自分で食べてみる。味付けをしていないので脂の独特な臭みを直に感じる。肉は変に繊維っぽい。歯に残り、舌の奥に張りついて飲み込みづらい。ホットプレートを持ってくればよかった。
左腕をまたつっこんで肉壁をなぞる。自分の内部は生温かくてどろどろしている。やっぱり私はボテロの絵ではなかった。自分をこわしても体そのものは消えないんだ。さわっているうちに心地よくなってくる。この中に入っていつまでも寝ていられたらいいのに。
私は思考すれどもその実ただの肉塊でしかない。この思考すら肉の中でほんとうの私が見ている夢なのかもしれない。




